宮木あや子さんの「ヴィオレッタの尖骨」を読んだ

かげろうのように儚い、幻のような少女たちを描いた短編集。
 


 

4つの短編に登場する少女たちは皆、
残虐さと、諦念と、退廃と、出口のない衝動にもがいている。
 

不健全なんだけど、でも妖しい美しさを伴った、
この時期しか持ち得ない魅力を備えた少女たち。
あまり多くはないのかもしれないけど、
でももしかしたら日本の何処かには、
同じほの暗さを抱えている少女はいるのかもしれなくて。
 

わたしはどうしても、自分のあの頃とこの少女たちが違い過ぎたから、
「こんな女の子たちはなかなかいないわ〜……(読み続ける)うん、いないな〜
と思ってしまって、あまり没入はできなかったけど。笑
 

ただ、読み終わってからもう一度思い返してみると、
描かれた少女たちの共通点は他にもあって。
”将来をうまく思い描けない”少女たちだったんだなと、
そしてその感覚は、確かにわたしにもあったな、ということに気づいた。
 

音楽の才能を持ちながら、秘匿され続け世に出れない絵梨とひづる。
高校を卒業したら家のために結婚することが決められている茉莉。
戸籍も持たず育ての親が死んでも街から出られない遊女の弌花。
自分の体の変化を拒否し続ける夕子。
 

彼女たちがその後どんな人生を歩むのか、
彼女たち自身も、読み手にも想像がつかない、あやふやさが印象的だった。
ストーリーの先に、とんでもない悲劇が待っているようにも、
案外淡々と大人になって、たくましくなっていくようにも、どちらにも思えた。
 
 

不幸の気配が人を惹きつけるとしたら、
それはこの本から漂ってくる、こんな匂いがするんだろうな、と思った。
 
 

ダウナーな気分に浸りたい人にはおすすめの本かもしれない、なあ。
桜庭一樹みがあるので、そんなくらーくてうつくしーい小説が読みたい人にはいいかもしれない。
宮木あや子さんだったら「雨の塔」「太陽の庭」が特に好きな訳ですが、
その二作と重なる雰囲気もあったなあ。
 


 
 

以降、各短編のネタバレ感想が続きます。
未読の方はご注意ください!
 

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