次世代Web小説投稿サイト「ノベリズム」と「第四大戦」について

唯一読み続けているライトノベル作家さん、十文字青さんがウェブ媒体で連載を始めるという情報を目にして、早速読み始めました「第四大戦」

ひいき目がどうしても入ってしまうのですが、やっぱり…面白いよな…と思ったので、少しでも広めたいという一心で、ご紹介したいと思います。

(ひいき目になりすぎないよう、ノベリズムの連載作品で、人気のありそうなものも比較のために読んでみました。その感想も後述します)

第四大戦はこんなお話

 人類は有史以前から人外勢力としのぎを削ってきた。
 遺跡や遺物、文献等々を詳細に分析すると、過去に世界規模の大戦が、少なくとも三度は行われたことが判明している。
 いずれの戦いにおいても、最終的に勝利を収めたのは僕たち人類だった。
 でも、人外が死に絶えたわけじゃない。
 西暦2020年、現在。ある人外は僕たちの社会に紛れ、隠れ潜み、またある人外は人類と共存しようとしている。そして、四度目の大戦を画策する人外も――
 これは、第四大戦を阻止すべく活動する僕たちと、引き起こそうと目論む者たち、その狭間でもがく者たちの、戦いと日常の記録だ。

北海道、特に札幌?をイメージした東(あずま)市が舞台です。
上のあらすじにもあるように、人外が存在している以外は、いまの日本の暮らしと何ら変わりの無い世界観。

物語はまず、主人公の回想から始まります。

主人公は、人外を討伐するための戦闘組織に所属しているのだけど、なぜ高校生(正確には、浪人生)の彼がそんな危ないことをしているのか、ひとりで暮らしていて、友達はいなくて、お金には困っていない様子なのは何故なのか…。

そんな主人公・安条世羽(あんじょうせいう)くんの来し方が語られます。

まずですね、このね、回想から…アクセル全開というか…
凄惨なシーンが多いので、ここで合わない人もいると思います。合わないなと思ったらやめていただいていいと思います、全然。(どの立場…?)

回想が終わった後、時間軸は現在に移り、世羽くんの生活や、人外との戦闘が描かれていくという構成です。

人外、と大きく括られる中でも、特に鬼との戦いに焦点が当てられています。

見た目は人間と同じなものの、とても力が強く、頭からツノが生えている存在。人間に紛れてひっそりと暮らす鬼もいれば、人間と敵対している鬼もいる。
人間の方が圧倒的に人数は多いものの、鬼の力は人間にとって脅威なので、「浄化班」と呼ばれる組織があり、日々人外との戦いに身を投じている。

世羽くんも、そのメンバーの一人です。

世羽くんは、ちょっと不器用で、でも実直で、気になる女の子が出来てはそわそわするような、少し変わっているけど、とてもいい子だなと読んでいて感じます。ちょっと厨二なところがあるのは、まあライト文芸の主人公なのだから仕方ないですね。
十文字作品の多くがそうですが、登場人物たちに自然と好感が持てるのだよね。それだけキャラクターの人格に一本筋が通っているということなのだと思っています。わたしは世羽君のことを、親戚やよく見知った近所の子どもを見るような目で楽しんでいる気がする…笑
高校生の方が読んだら、きっと近しい存在に感じられると思います。

第四大戦、全体がどのくらいのボリュームなるのか分かりませんが、一旦は「世羽黙示録」というシリーズとして、世羽くんを主人公にしたお話が51話あり、今は黙示録は一区切りついて、「鬼譚」というシリーズが始まっています。
「鬼譚」が終わると、また世羽黙示録に戻るのだとか。

ウェブ連載ゆえに、紙や電子書籍のように、紙面の都合上話が途切れるということもなく、物語は抑揚がつきながらも常に全力!という感じでとても面白いです。

1話あたり、概ね3,000字〜5,000字で構成されていて、原稿用紙8枚〜12枚程度?読み手のスピードにもよりますが、わたしの場合は大体4〜5分で読むので、サクッと読めるのも手軽で良いです。

あとで詳細はご説明しますが、15話まで無料で読めるので、気になった方はぜひ試してみてください。

今のうちだけかもしれませんが、各話にコメントを付けられるのだけど、かなり高い確率で著者・十文字青さんが返信をしてくださっています。
今なら著者と直接コミュニケーションが取れるかも!?(わたしはコメントしたことありませんけど…恥ずかしいので…)

第四大戦の魅力

先ほども書きましたが、人外との戦闘や、キャラクターの生い立ちは結構容赦無く、悲惨に描かれるところもあるので、好き嫌いは分かれるような気もしています。

わたしも別に凄惨なシーンが読みたい訳では無いのだけど、登場人物の抱える痛みを描くのが、十文字さんは本当にうまいなと、本作を読んでいても思いました。

誰かの痛みや弱さを知ることで、全く程度は異なるけれど、自分だけじゃないと思えることって、ありませんか?

例えばアスリートや芸能人など、有名な人の苦労話や挫折した経験、下積み時代の話を見たり聞いたりすると、こんなすごい人でも順風満帆ではなくて、大変だったんだから、自分も自分なりに頑張ろう、と思えたり。

キャラクター個人個人の価値観が形成される過程を、十文字さんはいつも丁寧に描いていると思います。それによって、他作品に比べて、登場人物への感情移入が一層増すのだと。

癒しというと語弊があるかもしれないけど、でも確かに、わたしは癒しを感じている。

まだまだ他の十文字作品ほどは愛着を持てていないけれど、こうやって誰かに伝えたくなるくらいには、本作のことが好きになってきています。

更新頻度がかなり高いので、全話ちゃんと読みきれていないのだけど…笑

登場人物一覧(気が向いたら更新)

じゃあ読んでみようかな!と思った方が物語にしっかり入り込めるように、登場人物の紹介をしておこうと思います。

数話に1回、フルカラーの挿絵がついていたり、登場人物の設定画が貼られているのでイメージはしやすいと思うのですが、そこそこ人数が多いので、一助になればと。

※基本的に、作中での登場人物説明を参考に記載しています。

◆浄化班

安条世羽(あんじょう・せいう)
19歳、浪人生、身長174センチ。世羽黙示録の主人公。

猫又(ねこまた)
年齢不詳、人外だが人類に与している。通称は「ネコ」。正体は尻尾が二股に分かれた猫。

兎神静歌(とがみ・しずか)
22歳、七十六浄化班常勤。コールネームは「シズ」。失語症。兎神夕轟の娘。

植田アリストートル(うえだ・ありすとーとる)
両親ともフィリピン人で日本育ち、七十六浄化班の運転手兼通信役。

龍ヶ迫つぼみ(りゅうがさこ・つぼみ)
年齢不詳、元四十五浄化班所属、現七十六浄化班班長、コールネームは「ドラゴン」。身長159センチ。

兎神夕轟(とがみ・ゆうごう)
静歌の父親、元三十四浄化班班長。今は…?

逆白波アロヲ(さかしらなみ・あろを)
年齢不詳、七十六浄化班の「協力者」。人間ではない。「傘男」。寒がりでアイドル好き。

ヌ堂
42歳、髭面のバツイチ。七十六浄化班の非常勤隊員。

◆人外

由布鷹正(ゆふ・たかまさ)
ピアノ発表会襲撃事件の犯人。

拳崎一心(けんざき・いっしん)
グールのギャング髑髏王(スカルキング)のリーダー。

※グール:見た目は人類によく似ているが手足の指が関節一つ分ほど長く色素が薄い。平熱で三十三度程度と人類よりも低体温。また、屍肉を好んで喰らう。本体は体内に棲む細長い蛆虫のような生き物(グールワーム)。

修羅坊主(しゅらぼうず)
過激派グール集団、彼らの起こしたテロ事件の被害は、小学生の死者35名、重傷者29名、教員の死者4名と過去最悪の部類。

由布郎女(ゆふ・いらつめ)
由布鷹正の妹。世羽やアロヲを付け狙う。

◆その他

乙野綴(おとの・つづり)
予備校生、19歳、身長160センチ。スカート丈はロングで袖の長い服が好きらしい。料理も上手。

裏林観音(うらばやし・かのん)
19歳、弥勒の妹、なお弥勒の父の後妻の連れ子なので血の繋がりはない。世羽の高校時代の同級生。身長150センチ足らず。

裏林弥勒(うらばやし・みろく)
武器や妖精などを売買する闇商人。

奈良川元一
兎神夕轟の友人で世羽の養父。

奈良川木綿子
兎神夕轟の友人で世羽の養母。

田戸中・浜西・靴本
世羽の高校時代の友人。駿河梟介事件の被害者。

乙野読彦(おとの・よみひこ)
東市立大学の考古学教授。綴の父。

概ね、「世羽黙示録」に登場する人物一覧にしてみました。続く「鬼譚」ではもっと多くの人物が登場しますが、あの人がここでも…?その名前、この前見たぞ…?と繋がってくるので、楽しいです。

特にタイトルが好きなのでまとめてみた

十文字さんの作品群の中で、サブタイトルが好きだな…と思うことが多いです。
語呂が良くて、印象に残るというか。

第四大戦は各話にタイトルというか章題がついていて、しかも日本語とその英訳が併記されています。お得です。(お得という表現は適切なのか?)

現在90話くらいまで来ているので、毎回考えるのもすごく大変そうだよな…と思いながら(実際著者の十文字さんも、Twitterで考えるの大変、とつぶやいていたのを拝見しました)、いつも楽しみにしています。

英語は日本語タイトルの直訳では全然なく、その章の内容を表していることが多いので「なるほどそう来ましたか…」と思うことが多くて楽しい。オサレなんだな。

ということで、どんな章題と英題なのかまとめてみます。十文字さんのテイストが何となく伝わるんじゃないかな。

第1章:ゆっくり、丁寧に、歌うように(Play like singing slowly and carefully)
第2章:僕にそれを選べというのか(One-way ticket to hell)
第3章:あなたが私を救ってくれた(Too late)

↑ほらほら、日本語題と英題が真逆のことを言っているオサレェ!(鳴き声)

第4章:言葉にならないこの気持ち(Little thing called love)
第5章:少女には向かない仕事(Dirty work)

↑桜庭一樹リスペクトかと思いました。(合いの手を入れたくなる病)

第6章:因果は巡る(Butterfly effect)
第7章:あなたを守りたくて(Faraway)
第8章:時は金にならず(Not counting)
第9章:きみのことなんか呼んでいない(Sister)
第10章:感情と冷静と激情の狭間(Super-ghoul)
第11章:安条世羽(Don’t look back in anger)
第12章:町の素敵な妖精屋さん(My life is not a fairytale)
第13章:手をのばして掴んだガラクタ(Like a toy soldier)
第14章:天にも昇ると人は言う(Cheap fiction)
第15章:この距離をどうやって縮めたらいいの(Social distance)

15章、ここまでが無料で読める章となります。うん、やっぱりタイトルオサレですね。

作品間リンクも…「境界探偵モンストルム」

実は第四大戦に登場する逆白波アロヲは、十文字さん2016〜2017年の著作、「境界探偵モンストルム」に主要キャラクターとして登場しています。

モンストルムの舞台も、第四大戦と同じく札幌をモチーフにしたであろう東市で、人外が存在しているところも一緒です。

第四大戦が人外討伐をミッションとする浄化班にスポットを当てている一方、モンストルムはしがない私立探偵が主人公。
人外絡みの依頼でのゴタゴタを描いた人情派(?)ミステリーになっています。

既刊2巻、多分レーベルごと廃れてしまったのだと思いますが、(2019年4月以降、新刊が出ていないので…)1巻を読んで面白かったので、2巻も読んでみようかなと思っています。

もしかしたら今後、アロヲ以外のモンストルムキャラがひょっこり第四大戦に出てこないかな…なんて妄想も広がります。

ノベリズムはこんなサービス

さて、十文字さんの作品をはじめとして、多くの作品が連載されている「ノベリズム」。
十文字さんの作品がなければ存在知らなかっただろうな…と思うので、まだまだ認知度は低めだと思います。

ウェブでの小説投稿サイトといえば「小説家になろう!」ですが(いやごめんなさい、ちょっと温度感が合わなさそうで読んだことがない)、なろう!が無料サービスである一方、ノベリズムは「契約作品」と呼ばれる作品群があることが特徴だと思います。

契約作品は先頭一部を無料で読むことができ、続きは有料でお楽しみいただける作品です。
契約作品は書籍と同じカバー絵(書影)、挿絵がついており、書籍と変わらないような読書体験と、書籍以上の表現力を皆様に提供いたします。
書籍と異なるのは、本文はリアルタイムで連載しているところです。作品によって毎日更新もあります、さらに挿絵もフルカラーで最短一週間間隔で更新します。
契約作品の販売は一話単位で行います。各話の値段は字数により決定されます。

ノベリズムHPより

とのこと。

著者の方には、読者が課金したお金の一部が(ノベリズムによれば、印税よりももっと高い利率で)支払われるほか、一定の更新頻度を守る著者には皆勤賞システムということで、別途お金が支払われるそうです。

なるべく良質な契約作品を増やし、ノベリズムの評判を高め、多くの読者に課金してもらうのがノベリズムの狙いであり、ビジネスモデルなのだと思いました。(カラーで挿絵がつくので、書籍化もしやすそうですね)

使ってみていいな〜と思ったのは、有料話を読むためのポイントチャージの種類が豊富なこと!

クレジットカードの番号を登録するのが面倒でよく諦めてしまうのですが、ノベリズムではクレジットカード以外にも、コンビニ払い、キャリア決済(携帯料金に上乗せするやつ)、電子マネー決済(WebMoney、LINE Pay)が使えるのです。

最近飲み会の精算をLINE Payで行うこともあるので、LINE Payでサクッと支払えてしまうのは有り難い。

当初はウェブのみで展開されていたサービスですが、最近アプリもリリースされました!

アプリでは、ログインボーナスの他に動画視聴を行うことにより、有料話が購入できるポイントがもらえるので、1日少しずつなら、課金しなくても有料話を楽しむことができます。

第四大戦も勿論動画視聴などを通してゲットしたポイントで読めるので、ぜひぜひお試しくださいね。

他の契約作品も読んでみた

先ほども書いた通り、ライト文芸全般からすっかり遠ざかってしまっているので、ノベリズムに掲載されている作品も、第四大戦しか読んでいませんでした。でももしかしたら、他の作品も面白かったりするのかな…?と気になったので、ランキング上位作品を読んでみました。

◆鮮血王女、皆殺す
政略結婚をするはずだった落ちこぼれの王女さま・メアリーが、婚約パーティーの場で無実の罪に問われ処刑を言い渡されてしまう。メアリーを助けに来たのは、彼女が唯一信頼し、心を通わせる姉のフランシスだった。姉フランシスと共に脱獄したメアリーだったが、追手の超強い頭イかれ気味の魔法使いに追われ、姉共々殺されてしまった、はずだった…みたいなお話。
うーん…ひたすらエグさを強調する割に、文章が平坦だな、という印象を受けます。擬音が多め。主人公のメアリーにも、特に可愛さを感じないしな…

◆亡国の姫に復讐の剣を
魔族の姫エルザは、敬愛する国王と優しい王妃、そして自分に忠誠を誓ってくれた人狼の騎士に囲まれ、平和で幸せな暮らしを享受していた。が、ある日魔族の国に人間の大軍勢が侵入、国は陥落しエルザは唯一の生き残りとなる。彼女の前に現れたのは、”復讐を司る存在”。エルザは人間への復習を誓い、剣を取る…みたいなお話。
↑の作品よりも続きが読みたいと思った。エルザさんが手にした剣は喋れるのだけど、やたらと軽快かつ御多分に洩れずお強いので、読んでいて楽しさがある。ちょっと、やや、取ってつけた(何処かで見たような)展開が続いているので、ここからどれだけ盛り上がるのか…?と少し疑ってしまうごめんなさいね。それと誤字が目に飛び込んで来て気になる。(ちなみにノベリズムは、読み手が誤字を発見したらお知らせできるシステムがついているらしいです)

たまたまわたしが読んだ2作品がそうなのかもしれないけど、復讐モノが最近の流行りなんですかね。
第四大戦も、確かに復讐モノでもあるし。

辛い状況に立たされた人が、逆境に打ち勝ち(復習を遂げる)カタルシスが得られる、読み手のストレス解消になる、という構造なんだろうね。

分かりやすくて人気なのは納得できるけど、こういう復讐モノって…TVの再現VTRとかもそうだけど…カタルシスを得るために、一回イラっとさせられたり、エグめのシーンを読まされたり…読み手の無理やり感情を波立たせてくる感じがするんですよね。そのワザとらしさに辟易としてしまう…笑

そう思ってしまうのは、わたしが穿りすぎなのかな。

結局のところ、あらゆるフィクションは全て作られた抑揚でしかないのだけど、だからこそ、なるべく自然に、心から、登場人物たちの感情を理解できる、そんな作品が読みたいと願ってしまう。

その点、上の二作と比べても、いや他の小説と比べても、第四大戦は優れていると思います。

何度も何度も、塗り重ねるように描写が重ねられて行くので、読みにくかったり、飽きてしまう人もいるかもしれないし、ノベリズムのターゲット層・利用者層には少し馴染みにくい作品なのかもしれない。

けれどわたしは圧倒的に面白いなと思うし、普段ライト文芸を読まない人でも、十二分に楽しめる作品だと思っています。

(実際のところ、展開が遅いような気はする。でもなあ、亡国の姫…の方で、生き残りの軍団に主人公が加わろうとして、頭領に拒否されるんだけど、あっという間に主人公のことを認めちゃったりしてて、アレッそんなもん?とかって突っ込みたくなってしまう。展開が早すぎるんだよな。みんなせっかちなのかな)

※ところで、この手の”今時の復習モノ”をまだ完読したことがないのだけど、復讐してそれでハッピーエンドなのかな?それとも復讐は良くないよねって報いを受けるバッドエンド系?

いずれにせよ、ノベリズムさん自体がもっともっと活発にならないと、第四大戦を最後まで読み切れないんじゃないか…という不安もあるので(第四大戦、まだまだ続きそうだし)、是非とも頑張って欲しいです。

わたしやります、課金!(宣言)(いやどんな終わり方)